コラム

シアリスとアドシルカの違い

2018.05.21

日本新薬が販売するED治療薬のシアリスは5mg錠、10mg錠、20mg錠がありますが、「20mgよりも上の用量があると聞いたのですが」という質問をされることがあります。ED治療薬のシアリス(タダラフィル)の1日の極量は20mgまでとなります。しかしアドシルカという薬はシアリスの主成分と同じタダラフィルで、1日の極量は40mgまでとなっているため誤解されてしまうようです。シアリスやアドシルカは医療機関で処方してもらうことができます。個人輸入代行による健康被害が多数報告されているので、通販等は利用しないようにして下さい。今回はシアリスとアドシルカの違いなどについてお話しします。

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シアリスの成り立ち

シアリス(Cialis)はアメリカのイーライリリー・アンド・カンパニーが製造したED治療薬で、2007年に厚生労働省の認可を受けて国内で販売が開始され、2009年に日本新薬に販売が委託されたバイアグラ(シルデナフィル)・レビトラ(バルデナフィル)に続く3番目のED治療薬になります。有効成分は「タダラフィル」でシアリスは他の2つのED薬と比べて、薬の効果時間が長く、副作用の発生確率も抑えられ食事の影響も受けにくいED治療薬です。発売以来、世界100ヵ国以上で1000万人以上の患者に愛用されています。2013年8月にはED治療薬としての全世界シェアが第1位の42%となり、世界市場でも大きな指示を得ているED治療薬といえます。

アドシルカの成り立ち

アドシルカはイーライリリー社によって肺動脈性肺高血圧(PAH:Pulmonary arterail Hypertension)の治療を目的として開発された薬剤です。シアリスには5mg錠、10mg錠、20mg錠がありますが、アドシルカは20mg錠のみであり肺動脈性肺高血圧症に対して1日1回40mg(20mg錠2錠)の経口投与での治療を可能としている薬剤です。つまり、アドシルカの1日の極量は40mgまで服用が可能ということになります。2008年にアメリカ、日本、ヨーロッパで製造販売の承認を申請し日本人を含む国際共同無作為二重盲検試験により、有効性と安全性が確認されアメリカでは2009年5月、日本では2009年10月、ヨーロッパでは2009年11月に承認された薬剤です。

肺動脈性肺高血圧症(PAH)とは

肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、何らかの原因で心臓から肺に血管を送る血管(肺動脈抹消)の小動脈内腔が狭くなってしまい血流が悪くなり血液が通りにくくなることにより、肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなる病気で息切れや倦怠感などの症状が出ます。肺動脈が狭くなると血液を送るため心臓の右心室は、より大きな力が必要となるため筋肉を太くして対応しようとします。しかし、右心室は高い圧力に耐えきれるようにできていないことから、右心室の壁が厚くなり拡張すると機能が低下してしまい右心不全を引き起こす原因になる疾患です。そのため、血管を拡張し血流を良くする治療薬が使われています。日本では約6,000~9,000人の患者数が推定されていますが、成人においてはその約7割が女性だと言われます。

シアリスとアドシルカの違い

服用方法

シアリスとアドシルカに違いはありません。タダラフィルはブロック状の構造になっており、水に溶けにくく時間をかけて人体に吸収されるという特徴を有しているため長時間効果が持続します。アドシルカは1日に40mgまで服用が可能となっていますが、シアリスとして認可されているのは1日20mgまでとなっていますので、ED治療目的でシアリスを服用されている方はそれ以上の服用はしないで下さい。「同じものならシアリスの代わりにアドシルカを服用してはどうか」と考える方もいるかと思いますが、現実的ではありません。そもそもアドシルカは肺動脈性肺高血圧症の診断がないと処方を受けられない事、また処方される薬の中からアドシルカが選ばなれければならない事、薬の値段で比較したとしてもそこまでのメリットが出ないことなどからです。同じ主成分でも症状や用途、改善したい箇所などにより適正用量は変わります。シアリスは長時間型で即効性型に比べ使用感が若干マイルドに感じられる方もいます。しかし、自己判断などで1日の用量以上を服用したり用法を守らない服用方法をすることは絶対に止めてください。

副作用

比較的食事の影響を受けにくいシアリス・アドシルカですが、頭痛や顔の紅潮などの症状が出る場合があります。頭痛はロキソニンなどの鎮痛剤を併用しても問題ありません。副作用が治まらなかったり、ひどい症状が出る場合は速やかにかかりつけの病院などで医師の診察を受けてください。また、ニトログリセリンを始めとする硝酸剤を服用中の方、3ヵ月以内の心筋梗塞・6ヵ月以内の脳梗塞や脳出血の既往歴がある方、網膜色素変性症・重度の肝障害のある方、不安定狭心症の方はシアリスやアドシルカを処方することができません。特に硝酸剤を服用中の方はシアリスやアドシルカの服用により血圧が急激に低下し、重篤な症状になる恐れがあるため絶対に併用しないで下さい。

 個人輸入や通販での購入にはご注意ください

シアリス・アドシルカ共に個人輸入や通販での購入はお薦めしません。インターネットを用いた個人輸入代行業者は料金支払い後に連絡が取れなくなったり、偽造品の混入の恐れなど多くのリスクがあります。特にED治療薬は通販で流通している薬のおよそ6割もの薬が偽造品だったという怖い調査結果もありました。偽造品には有効成分が含まれていないにとどまらず、身体に害を与える成分も含まれている可能性もあります。また薬剤には相性があり併用することが禁忌とされているものもあるので、正規の流通経路を持った病院や専門のクリニックで医師と相談の後に購入・使用いただく事をお勧めしています。

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