コラム

EDの歴史 

2018.05.14

ED(Erectile Dysfunction/勃起不全)とは、男性特有の性機能障害の一種です。陰茎の勃起維持が出来ないことによって満足に性交が行えない状態を指します。日本性機能学会の定義によれば、性交機会の75%以上の確率で性交が行えない状態とされています。呼称としては一般的にはED(イーディー)が定着しており、その他に勃起機能障害、勃起障害、勃起不全とも呼ばれています。

EDと治療の歴史

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EDの歴史は聖書に記載されていることから読み解くことができ、「姦通を企てたものへの罰」としてEDが登場します。2000年前のエジプトでもEDを神罰と信じており、偶像への供物で怒りをおさめようとしていました。一方、薬草で陰茎の硬度回復を試みるような、治療法ともいえる施術が記録に残されています。
古代ギリシャにおいてもEDは存在し、勃起しないのは幼少期にお墓の上に座ったせいだと信じられていました。当時の治療法は雄羊の去勢に使用したナイフに付着した錆や血を混ぜた水を飲むことでした。
また、中世までのカトリック教会はEDを悪魔付きの症状、呪いのせいだとも考えていました。この当時、性魔術というのも信じられており、呪いの力で勃起不全にするということも行われていました。中世ヨーロッパにおいてもマンドラゴラという植物がEDに効果があると愛用され、インカ帝国ではマカが特権階級のみに使用が許されたという歴史があるように、EDは大昔から男性の悩みであったことがわかります。現代ではEDに対してさまざまな治療を選択することができ、中でも内服薬での治療がスタンダードとして定着しています。

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勃起のしくみ

勃起は性的興奮が大脳に伝達し、脊髄から脊髄の勃起中枢、ペニスの陰茎海綿体の神経に届くと陰茎海綿体のなかでNO(一酸化窒素)が放出されることにより筋肉や血管に作用し、cGMP(サイクリックGMP/環状グアノシン一リン酸)という物質が放出されます。cGMPが増加すると陰茎海綿体の筋肉が弛緩し血管が拡張し、血液が大量に陰茎海綿体に流れ込み勃起します。
また、男性の身体には「勃起を維持する」仕組みもあり、陰茎海綿体にある程度血液が入ると陰茎海綿体の静脈が圧迫されてふさがることで勃起が維持されます。このとき、十分な血液が流入しないことによって勃起の維持ができないというEDの症状があります。
逆に勃起を抑える機能もあり、勃起したままだと生活に支障が出るため、射精または性的な興奮が終了すると血管平滑筋に存在するPDE-5(ホスホジエステラーゼ5型)という酵素がcGMPを破壊することで勃起がおさまります。
勃起の条件として性的興奮を感じる「大脳」、大脳から脊髄に伝達する「神経」、勃起に必要な血流を確保する「血管」、勃起を維持する「海綿体」が正常に働くことが必須となります。特にEDになる方は勃起を促すcGMPが減少し、勃起を抑制するPDE-5が過剰になることで勃起しづらい状態になるといえます。

ED治療の変遷

バイアグラ処方前は陰茎に注射して勃起させていました。

ED(勃起不全)と呼ばれる以前はEDのことをインポ(テンツ)と呼ばれていました。今よりEDに対して偏見や差別的であったり、専門的なクリニックもなく病院へ行くことも恥ずかしく大変でした。治療薬も存在していなかったため、簡易検査のあと陰茎へ注射するという方法のみでした。
簡易検査もAVを鑑賞し勃起の反応を見るものだったり、就寝時に通常5~6回の勃起する生理的現象の有無を測定したりするものでした。

1998年にバイアグラが登場し、ED治療が大きく変化した。

1998年に米国医薬品局がファイザー社のバイアグラをED治療薬として承認したことにより、世界で初めてED治療の服用薬としてバイアグラが登場しました。これによりED治療は格段と変わりました。また、EDの認知度も飛躍的に向上しました。
現代ではED治療薬(バイアグラ・レビトラ・シアリス)を用いて治療されることが多く、ED治療薬の人気の理由として価格が安いことや症状に合わせて選べること、時間がないときに購入しやすいクリニックが増えたためと言えます。

EDは医療機関である病院やクリニックで処方されるバイアグラ、レビトラ、シアリス等のED治療薬によってED改善しますが、EDの原因によって診察や処方が異なります。ED薬も種類や用量があり、一番メジャーなED治療薬であるバイアグラ(シルデナフィル)でも25mg錠・50mg錠・100mg錠と、用量があります

バイアグラを製造販売するファイザー社が日本でバイアグラ100mg錠の申請をしなかったため、日本ではバイアグラ50mg錠までの承認ですが、世界におけるED治療の主流はバイアグラ100mg錠です。ED治療において一番大事なのはクリニックや医療機関において医師の診察・医師の診断のもとでED薬の処方を受けることです。しっかりと自分のEDの状態にあった適切な用量のED治療薬を処方してもらうことでEDが改善します。

 

最後に

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いざEDという症状が現れた時に「まさか自分が」と思われるかもしれませんが、大昔の男性でも時代問わず国も問わずEDの症状が存在した事実があります。現代では4人に1人がEDになると言われています。EDは治療薬で治せますので、あまり深く考えず本サイトでも紹介している専門のクリニックや医療機関で医師に相談・受診することをお勧めします。