レバチオとは
2008年ファイザー社から販売された肺動脈性高血圧に用いられるバイアグラと同じ有効成分シルデナフィルを持つ治療薬です。異なる適応症に対してそれぞれに同じ有効成分を治療薬として転用することは珍しくなく、例として前立腺肥大症の治療薬である「アボルブ」は有効成分がデュタステリドですが、AGA治療薬の「ザガーロ」も同じデュタステリドです。このように有効成分はその有用性から研究を繰り返し、日々適応するための開発がなされ、異なる適応症の治療薬として処方・販売されています。
※レバチオのシルデナフィルとは別の有効成分で同じ肺動脈高血圧症を適応とした治療薬に「アドシルカ」というものがあり、アドシルカの有効成分はED治療薬の「シアリス」と同じ「タダラフィル」になります。また、タダラフィルは他の疾病に対しても適応しており、前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬で「ザルティア」としても用いられており、イーライリリー（日本新薬）から製造されています。
レバチオは希少疾病医薬品
肺動脈性高血圧症（PAH）は難病指定されており、比較的に男性より女性の方がかかりやすく男性の約2倍罹患すると言われています。加齢とともに発症率が上がりますが、年代としては20～60代と多くの世代に見られ日本の患者数は約6000人と推定されています。
肺動脈性高血圧症は肺の血管に異状が生じることにより心臓に負担がかかることから、初期の安静時は自覚症状が少ないのですが進行とともに息苦しさや倦怠感、ひどいと意識がなくなったり失神するといった症状が現れます。2005年以降には有効とされている治療法の「肺血管拡張療法」が保険適用になり、治療可能例の5年生存率が70～80％になりました。その他の死亡例として突然死や右心不全死の報告があります。まだはっきりとした原因が解明されていませんが「原発性」と「続発性」に分類されています。PAHの研究が進み、病態にエンドセリン、PGI2（プロスタサイクリン）、PDE-5（ホスホジエステラーゼ5型）が関与していることが分かり、PDE-5が陰茎海綿体だけではなく肺動脈平滑筋にも多く存在していることからもPDE-5阻害薬であるシルデナフィルを用いることで、平滑筋弛緩作用を持つcGMPの分解が抑制され肺動脈圧及び肺血管抵抗が低下するというものです。
レバチオの服用と効果
レバチオは「レバチオ20mg錠」を1回1錠1日3回服用します。肺動脈性高血圧症は心臓から肺につながる血管内の血圧が異常に上がる症状です。有効成分のシルデナフィルは脳を介すことで血圧を下げ、全身の血管に作用します。また、副作用としてはバイアグラと同様に頭痛、ほてり、鼻づまりなどが挙げられます。日本においてはバイアグラ錠と外見を区別する意味からレバチオ錠は白色円形の錠剤となっています。
レバチオとバイアグラ
どちらも有効成分をシルデナフィルとした薬剤なのでED治療にレバチオ、肺動脈性高血圧症の治療にバイアグラを用いても”理論的には”両者改善効果が期待できます。しかし、レバチオは難病指定の”肺動脈性高血圧症患者のみ”にしか処方されないので、ED治療薬として用いるのは一般的ではありません。また、バイアグラは基本的に自由診療のクリニックなどで保険適用外で購入するため、肺動脈性高血圧症患者がわざわざレバチオではなくバイアグラを治療に用いることもありません。
バイアグラの服用と効果
アメリカのファイザー社が1998年に世界で初めて販売したED治療薬です。有効成分の「シルデナフィル」は、陰茎の勃起を促す作用があります。アメリカでバイアグラが販売された翌年には日本国内でもスピード承認され、現在までもED治療薬として欠かせません。現在では三大ED治療薬としてバイアグラの他にも「レビトラ」「シアリス」がありますが、未だ根強い人気を誇っています。
服用後、約1時間で効果が出始め約3～6時間効果が持続します。有効成分のシルデナフィルは食事の影響を受けやすく、食前食後の直近だと吸収されずらいので効果が表れない場合があります。上記の通り副作用は主に頭痛やほてり、鼻づまりなどがありますが、効果が消失するとともに副作用もなくなるので過度な心配をしなくても大丈夫です。また、頭痛が気なる方はロキソニンなどの鎮痛薬を併用できますし、他のED治療薬レビトラやシアリスを試すのも一つです。
レバチオでの記載にもある通り、シルデナフィルは体内で平滑筋を弛緩させ血流量を増加させることでcGMP（環状グアノシン一リン酸）の分解酵素PDE-5（5型ホスホジエステラーゼ）が活性するのを阻害します。これによりED症状に対しては陰茎周辺の血管が拡張し、血流が増加することで勃起します。日本国内だとバイアグラ25mg錠と50mg錠があり、世界的には100mg錠がED治療として用いられています。
インターネット通販に注意
近年、インターネットの普及に伴い個人輸入代行業者などによるインターネット通販が多く存在します。レバチオに似ているもので「レバチオ液」がありますが、全くの別物で家畜に使用される薬剤です。錠剤や液剤など、少しの違いで全くの別物になりますので、簡単に薬が入手できるからと安易に服用していい薬ではありません。微々たる違いが人体には大きな影響を及ぼします。こういった間違いを防いだり、症状の判断や薬剤の判断ができるのは知識と経験のある医師です。こちらのサイトでも紹介しているクリニックであれば専門の医師が診断し、処方してくれますので疑問などがあれば受診することをお勧めします。